「おうち時間」「ステイホーム」―。
新しい生活様式によって、家での時間が注目されている。
寒くて長い冬を過ごす北東北の人は、
暖かい家で暮らす楽しみを知っている。
冬でも快適な生活空間で、
趣味を楽しんだり、家族と団らんする時間を大切にしたり、
暮らしを楽しむ家と人を紹介しよう。

TACK

岩手県盛岡市

「ねこと暮らす家」

日当たりも良好
人とねこ4匹の快適生活

ねこの習性に合わせ、人も心地よく過ごせる家づくりとは。
快適な住まいで、ねことの豊かで楽しい暮らしを実現。

窓をおしゃれに演出するロールスクリーン。部屋ごとに色と模様が異なっている。

人目線とねこ目線で家を設計する

 気配を感じて振り返ると、さび猫のてんちゃんが、こちらをじっと眺めている。突然の来訪者をしばらく眺めてから、ゆっくりと近づいてきて足元にスリスリと体をすり寄せてくる。
 ねこと暮らすために建てられた家に住むのは、四戸さん親子と4匹の保護ねこ。2年前、四戸さんは老朽化が目立ってきた自宅を建て替えることにした。
 建てるにあたり、建築関係の仕事をしていた娘の澄香さんが中心となって話を進めた。設計・施工をタックに依頼したのは、澄香さんがタックの仕事ぶりを知っていたからだ。「営業から設計、現場の職人、コーディネーターまでの距離感が近く、施主の思いや希望を皆さんが共有されているので、安心できたのです」という。
 澄香さんが家づくりで大切にしたのは、「母とねこが住むための家であること」だ。最初に母親の生活動線を考慮した間取りを考え、そこにねこが自由に過ごせる空間づくりを加えていった。
 四戸さんが1日の大半を過ごす1階のキッチン、ダイニング、リビング、洋室をひと続きの広々とした空間とし、バリアフリーにした。
 「段差がないから掃除がしやすくて」と四戸さんは笑う。これはねこたちにとってもよかった。家の中を自由に移動することができるからである。
 さらに、日向ぼっこが好きなねこのために窓に棚を設置し、ねこがくつろげるようにした。ほかにも随所に仕掛けがある。そのひとつが、吹き抜けの階段にあるのぞき穴。ソファに座って上を見ると、ねこたちがその穴から顔を出して見下ろしていることもある。その姿がかわいらしく、癒されるという。2階にある寝室やベランダにも工夫が施されている。これらのアイデアは四戸さん親子とタックの間で意見を出し合い、一緒に形にしていったという。
 そして、完成した家で、四戸さんたちは4匹のねこと暮らしながら、大好きな本を読んだり、訪ねてくる友達と過ごしたりしている。

  • 建物を支える主柱に、ねこが思いっきり爪研ぎできるようにと太い麻縄を巻き付けている。
  • リビングの一部は吹き抜けになっており、階段の壁にはねこが顔を出せるのぞき穴が開けられている。2階の手すりからねこが見下ろしていることもあるそう。
  • 日当たりのよい窓には、ねこがくつろげる棚が設置されている。
  • 階段下は、ねこ用トイレやケア用品などの収納として活用。
  • 外が好きなねこのために、ベランダもねこ仕様に。網を張り脱走防止。

  • DATA
  • 所在地/岩手県盛岡市
  • 施工/2019年12月
  • 工法/木造軸組工法
  • 床延面積/106.8²

  • タック株式会社
  • 岩手県滝沢市鵜飼八人打15-1
  • TEL 019-699-1512
  • 営業時間/8:00〜17:00
  • 定休日/日曜
  • http://www.tack-co.jp
  • 住宅展示場
  • 岩手県滝沢市鵜飼八人打15-1
  • 見学時間/10:00〜17:00(要予約)