カッパも涙する刺激的コロッケ

遠野コロッケわさび味

 仕事で県内のあちこちに出かけるついでに、岩手食材の質の高さの驚いている県外出身ライター。各地 のご当地食材を活かした「揚げ物」に興味が沸き、各地で味見。気軽すぎて注目されない「ご当地の揚げ 物」をコツコツと記録収集するコラム。
発見場所 岩手県遠野市
サイズ 約7×7×3cm
サックリ系
ボリューム
状態 店舗は調理済み(販売は冷凍)
特徴 香るバターと後から効くワサビ

城下町と田園風景と

 岩手県南東部の内陸に位置する「遠野市」は、遠野南部氏の城下町として明治維新まで200年以上も続いた城下町。
今でも大工町、材木町、六日町という地名に城下町の名残を見ることのできる町並みである。 歴史情緒のあるお店や民宿、神社仏閣などが点在する遠野駅周辺を抜けると、一気に自然豊かな風景が目に飛び込んでくる広い空と美しい田園風景。
カッパも住んでいると言われるここ遠野は、自然豊かで水もキレイ。
当然、農作物も美味しいものが多い訳で。

遠野の名所・宮守のめがね橋

美味しいものがあふれる民話の里

遠野といえばカッパ。
だが、それだけに留まらずグルメな名産品もたくさんあるのだ。 「ジンギスカン」「ホップ」「どぶろく」「明けがらす・・・と目移りするなか、水のキレイな遠野ならではの「ワサビ」を使ったコロッケがあるとの噂を耳にした。
遠野・宮守名物の「わさび団子」は、みたらし風味に良いアクセントとしてワサビが効いていたが、コロッケだと揚げるときにワサビの繊細さが無くなるんじゃないか?
果たしてどれほどあの鮮烈な風味が残るものなのかと、揚げたてを食べられると聞いた某地ビール店へ。

姿は見えないが存在感爆発

ワサビが消し去る揚げ物グラビティ

見た目からはワサビが使われていることは分からない、超オーソドックスなコロッケ。
ワサビがどのような仕事をしているのかと、真ん中から割って香りを確かめてみる。
予想通り一気に鼻に抜けるワサビの香りが飛び込んできた。例の「ツーンッ!!!」である。
ジャガイモのほっくりとした匂いもあるにはあるのだが、爽やか、かつ鮮烈で刺激的なワサビの香り。
油で揚げてなおこの香りを放つとは恐るべし。

香りを楽しんだ後に口に運ぶと、ふんわりとバターのふくよかな香りと味が広がる。
ポテトの甘みと絡まって・・・・・と思った途端に強烈なワサビの辛さがやって来た。
それも結構な辛み。思わず「来た来た!!」と叫んで鼻をつまんでやり過ごすことに。
鼻から抜けていったワサビの辛さに目をしぱしぱさせながら食べ進めると、ポテトのボリューム感と濃厚なバターの風味で胃が重たく・・・ならない。
ワサビの鮮烈な香りでスッキリと食べ進み、辛さが抜けた後からやって来るのは、ジャガイモのほっこりとした美味しさとバターの包むような甘さ。
互いがその特徴を際立たせる役目を果たす絶妙な味のバランス感覚。
そして、揚げ物を食べつつ感じる「カロリーは?」という罪悪感も無重力になる爽やかさ。

遠野の地ビール屋さんで頂いたこのワサビコロッケ。
そして遠野はホップの一大産地でもあり、スッキリとした地ビールと頂くとこれは美味しさ倍増であろう。
車で出向いたので今回はビールと一緒に楽しむことは出来なかったが、宅飲みで楽しもうと「道の駅遠野風の丘」さんで冷凍の商品を購入。
今回はワサビが本気を出した、お子さんにはちょっと厳しい大人向けコロッケだった。

タルタルソースとの相性も抜群

ワサビじゃないけど、これまた美味い

今回訪れた地ビール店は、わさびコロッケが普段のメニューに載ってないらしく聞かれたときだけ提供しているそう。
突然行っても仕入れてない事もあるそうなので、レギュラーメニューの「フィッシュ&チップス」もオススメ。
ワサビは入ってませんが、ザワークラウトとビネガーの酸味でペロッといけます。
これだけ食べに行って、もう一本記事を書けるくらい美味しい逸品でした。

お好みでビネガーをかけるとキリッと美味しい

今回のお店 遠野の某地ビール店・道の駅「遠野風の丘」