こんにちは。
岩手医科大学薬学部に勤務する杉山育美です。
薬剤師の目線で、いますぐ誰かに話したくなる「薬の豆知識」をお届けいたします。

春になり暖かくなってきたので、外に出て思いっきり深呼吸したくなりますね。
実はそうでもない・・・と現代に生きる私たちの中には花粉症に悩まされている方も多いようです。

そして、もうひとつ。現代の悩みといえば「睡眠」の問題があります。皆さまはしっかり眠れているでしょうか?
夜寝れなくて・・・と言ってお薬を処方されている患者さんは意外と多いなぁ、という印象を持っています。

今日は「花粉症と睡眠」、という関係なさそうな2つの症状に対する薬の共通点についてご紹介したいと思います。

花粉症のようなアレルギー症状に対する薬を飲むと眠くなってしまう、そんな症状を経験したことがある方もいらっしゃるかもしれません。
このような薬で引き起こされる眠気は抗ヒスタミン薬の副作用によるもので、代表的な成分のひとつに「ジフェンヒドラミン」があります。
(近年は眠くなりにくいアレルギーの薬が発売されているのでジフェンヒドラミンを使用することは少ないかもしれません・・・)

一方で、花粉症の治療が目的ではないけれど「ジフェンヒドラミン」が入っているお薬を薬局で購入することができます。
それが「睡眠改善薬」として販売されているお薬、例えばドリエルです。
これはジフェンヒドラミンを飲むと眠くなるという副作用を上手に利用して、寝つきを良くするお薬として販売されているのです。

薬は諸刃の剣と表現されることがありますが、諸刃を上手に使った例です。面白いですね。

ここで睡眠改善薬としてジフェンヒドラミンを使用する際の特徴を整理します。
1.何度も飲むと効かなくなってくる(耐性の発現)
  毎日飲んでいると効果がなくなってきてしまいます。旅行や出張など、いつもと違う場所だから寝れない、というような際に単発で使用することをオススメいたします。

2.寝つきが悪い入眠障害にだけ効果がある。
  睡眠障害は
  ・入眠障害(布団に入っても寝付くまでに時間がかかってしまう)
  ・中途覚醒(夜中に何度も起きてしまう)
  ・早朝覚醒(予定よりもだいぶ早く起きてしまう)
  ・熟睡困難(十分寝ているのに寝た気がしない)
  など症状によって分類されます。
  この中でジフェンヒドラミンの効果を感じられるのは「入眠障害」の場合です。
  その他の症状には効果が期待できませんので、病院に行って処方してもらうことがオススメです。
  病院で処方してもらえる睡眠改善薬には様々な種類があり、皆さまに最適なお薬を処方していただけます。

眠くなりにくい花粉症の薬はどれだろう?
睡眠を改善したい場合はどの薬を飲んだら良いのかな?

もしこのようなお悩みを持っていらっしゃいましたら、薬局やドラッグストアで薬剤師に相談してみてください。
薬剤師は、現代に生きる皆さまのお悩みが軽くなるようにお手伝いさせていただきます。

杉山育美
岩手医科大学薬学部 講師 博士(薬学)
薬剤師
スポーツファーマシスト
アスリートフードマイスター
薬剤師を身近に感じてもらいたいとSNSなどを通して発信中。
アスリートやサポートスタッフ、ご家族に対してアンチ・ドーピング活動をすると共に勝利のためには健康であることの重要性もお伝えしている。
近年はアスリートを含む女性の健康サポートにも力を入れている。