大規模な環状列石に込められた祈りや願い

 世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産うち、秋田県にあるのは「大湯環状列石」と「伊勢堂岱遺跡」。どちらもストーンサークルを持つ遺跡である。
 鹿角市にある大湯環状列石は、縄文時代後期の大規模な遺跡。万座と野中堂のふたつの環状列石があり、丸や四角い石をさまざま組み合わせた組石が特徴。そして、興味深いのは、夏至の日に万座と野中堂の中心にある石を結んだ延長線上に夕日が沈むこと。当時の人たちが一直線に並ぶように石を配したのではと考えられている。
 北秋田市にある伊勢堂岱遺跡は、大規模な環状列石が4つも連なっている珍しい遺跡だ。周辺から土偶や土製品が出土しているが、ほとんどの土偶が壊され、完全に復元できたのは1体だけ。そのため、何かしらの願いを込めて土偶を壊したのではと推測されている。
 ストーンサークルは祭祀儀礼のための神聖な場所だったという。多大な労力と時間を要してつくられたと想像すると、当時の人たちに敬意を払いたくなる。その想いは現代にもつながり、縄文ワインやクッキーなどがつくられている。

規模や形状が似ている「万座環状列石」「野中堂環状列石」。組石の下には土坑墓があり、環状列石を囲むように掘立柱建物が並ぶ。土偶などの祭祀遺物が数多く出土し、なかでも愛らしい表情をした「土版」は、刺突によって体の特徴を表現しながら、1〜6までの数字を表している。
  • 大湯ストーンサークル館

  • 秋田県鹿角市十和田大湯字万座45
  • TEL 0186-37-3822
  • 開館時間/ 9:00 〜18:00、11〜 3月9:00 〜16:00
  • 休館日/ 11 〜3 月の月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始
  • 観覧料/大人320円、子ども110円
 米代川近くの見晴らしのよい段丘にある祭祀遺跡で、4つの環状列石が隣接している。どれも直径30 メートル以上で、最大のものは直径45 メートルもあるという。土坑墓からはキノコや動物の形をした土製品などが出土しており、そのうちの1体「板状土偶」は少しとぼけたような表情が特徴。
出土した板状土偶の巨大レプリカ。
  • 伊勢堂岱縄文館

  • 秋田県北秋田市脇神字小ケ田中田100-1
  • TEL 0186-84-8710
  • 開館時間/ 9:00 〜17:00(入館は16:30まで)
  • 休館日/月曜(祝日の場合は翌日)
  • 入館料/無料