みんなで世界遺産を「もりあげ隊」

(文・三宅真由美/写真・油野純平)

 rakra107号「青森の魅力満載! 1万年の時を旅する」で紹介した、青森県外ヶ浜町の「大平山元遺跡もりあげ隊」。
 大平山元遺跡は、縄文時代草創期の遺跡で、日本現存最古の無紋土器片と石鏃が出土しています。その無文土器と石鏃が展示されているのが、「大山ふるさと資料館」。

 この土器片は、1万5000年前のもの。この小さな塊が土器の起源を語ることができるものと思うと感慨深いです。
 この大山ふるさと資料館では、縄文時代の暮らしを学ぶことができるほか、江戸時代から昭和にかけての外ヶ浜町の暮らしを知ることができます。町民から寄贈された農具や漁具のほか、テレビや足踏みミシンなども展示。
 中には子どものころ、身近にあった道具もあり、黒電話の前で、「かけなれたダイヤルまわしかけて……」(徳永英明「レイニーブルー」)と口ずさみそうに。

 外ヶ浜町蟹田地区には、大平山元遺跡を活用した町ぐるみの取り組みが行われています。そのひとつが「大平山元遺跡もりあげ隊」。発足は2年前。世界遺産登録に向けて活動を開始し、大平山元遺跡と同じ時代に生息していたとされるムササビがモチーフのキャラクター「むーもん」をつくり、関連グッズも開発しています。

 青森の地酒を販売する「はただ酒店」の神文範さんも大平山元遺跡もりあげ隊のメンバー。活動にあたって、「自分たちの生活や商売の中で、それぞれの持ち味を生かして無理なく活動しています」とか。
 はただ酒店では、香りが華やかな旨口タイプの「むーもんラベルの純米吟醸酒」を販売。

 老舗菓子店「中野菓子舗」では、「むーもん焼き」と、マドレーヌの「むもれーぬ」。焼印もつくるこだわりよう。店主は「焼印をきれいに押すのにも技術が必要」と笑う。

 そして、大平山元遺跡の近くにある、明治創業の雑貨・食料品店「笹木商店」には「むーもんクッキー」が。遺跡見学のおみやげに買っていく人も多いとか。  神さんは、「世界遺産登録は外ヶ浜町にとって明るいニュース。町を盛り上げ、活性化につなげたいです」と喜びつつ、「世界遺産に登録されたこれからが勝負!」といいます。遺跡の近くに住んでいるからこそできることをしたいと、意欲をみせています。  外ヶ浜町は、作家・太宰治のゆかりの地であり、義経北行伝説も残る地。大平山元遺跡と合わせてでかけてみるのもいいかもしれません。