こんにちは。
薬剤師の目線でいますぐ誰かに話したくなる「薬の豆知識」をお届けしております。
今回のテーマは「薬の保管方法」です。
薬はとても繊細な物質であり、保管方法を誤ると効果が減弱したり、予期せぬ症状をもたらしたりしてしまう可能性があります。
私たち薬剤師は「日本薬局方」という本に収載されている全てを学び、国家試験を受けて薬剤師になります。
つまり、日本薬局方は薬剤師の教典・バイブルのようなものです。
その日本薬局方には貯蔵に用いる温度についても収載されているので紹介したいと思います。
標準温度は20℃、常温は15〜25℃、室温は1〜30℃、微温は30〜40℃とする。冷所は、別に規定するもののほか、1〜15℃の場所とする。
冷水は10℃以下、微温湯は30〜40℃、温湯は60〜70℃、熱湯は約100℃の水とする。
(第十八改正日本薬局方より引用)
室温と言っても1〜30℃と非常に幅が広いことが分かります。
これだけ幅が広いと適当に置いておけば大丈夫だろう、と思われるかもしれませんが、よくよく考えてみてください。
東北の真冬では建物内でも氷点下になることがありますので、それは室温で保存してい
ることにはならないかもしれません。
逆に夏の室内は、室温が30℃を超えている日があり、これも室温保存から逸脱してしまっている状況です。
特に気をつけたいのが車中に置きっぱなしにすることです。
室温で保管すべき薬を夏の車内に置いたままにしておくと、あっという間に40℃近い環境となり室温ではなくなってしまいます。
逆に冬だったら・・・室温以下になってしまう可能性がありますね。
薬を受け取る際、特別な保管が必要な薬については薬剤師から説明があるはずですので、保管方法について特に指示がなければ室温を意識して保管するようにしてください。
時々、冷蔵庫に入れておけば半永久的に大丈夫なのではないかと思われる方がいらっしゃいます。
私の実家もそうでしたが、いつ貰ったか分からない薬が冷蔵庫から出てくることがあります。
同じ症状が出たときに飲もう、と思い大切にとっておいてくれたのかもしれません。
ただ、薬も食べ物と同じく決められた使用期限があります。
ですので、いつ貰ったか分からないお薬を使用することは効き目がないかもしれないだけでなく、予期せぬ副作用が出てしまう可能性もあるのでやめてほしいです。
まず、第一にお伝えしたいことは
「病院でもらったお薬は決められた日数をしっかりと飲み切ることが大切!」ということです。
医師は必要な日数を出してくれているので、自己判断で中断しないようにしてください。
その他、痛み止めなどは痛みが治まれば使用する必要がなく余ることがあるかもしれません。
その場合には薬の袋(薬袋(やくたい))に記載されている日付を目安に、半年〜1年以内には使い切るとよいでしょう。
それ以上の月日が経過した場合は処分することをオススメします。
薬局・薬店で購入したお薬の場合は外箱に使用期限が書かれているので、使用期限を守ってお使いください。
その際は、太陽が直接当たらず寒暖差があまりない場所での保管がおすすめです。
お薬箱を準備し、その中に薬をまとめ、引き出しや棚に入れておくのが良いかもしれません。
お薬箱を準備しておくと、緊急時に焦らなくてすむのもいいですね。
お薬箱として凝ったものを準備する必要はなく、お気に入りのお菓子の缶や、お土産でもらうような可愛い箱でも十分に役目を果たしてくれます。
可愛いと気分も上がりますね。
よかったら、早速、実践してみてください。
岩手医科大学薬学部 准教授 博士(薬学)
薬剤師
スポーツファーマシスト
アスリートフードマイスター
薬剤師を身近に感じてもらいたいとSNSなどを通して発信中。
アスリートやサポートスタッフ、ご家族に対してアンチ・ドーピング活動をすると共に勝利のためには健康であることの重要性もお伝えしている。
近年はアスリートを含む女性の健康サポートにも力を入れている。







