rakra116号の特集「うれしたのし贈り物」で、選りすぐったリネンを無縫製の上質なストールに仕立てる、「handsome linen KOMO」主宰の岡詩子さんを取材しました。

KOMOのストールは本誌でご紹介していますので、ぜひご覧ください。ここでは、ひとつだけ。無縫製であるのには理由があるのですが、その理由というのが、「そのままが一番いい」という岡さんの想いなのです。

「リネンって、本当に綺麗だと思うんです。だから、余計なことをしたくない」。だから、素(そ)のまま。

この岡さんの視点は、のちにもうひとつのプロダクトを生みました。それが、rakra111号の「餃子」の特集でもご紹介した、「回」の餃子です。

回は、岡さんが料理人の藤田潤也さんと立ち上げた「素のままプロダクト」というブランドのショップです。「素のままのモノを贅沢にとらえる」ことをテーマに、手づくりの餃子や調味料と、全国から選りすぐったお茶などを販売しています。なかでもメインで提供している餃子は、具材である地元のブランドポーク「つがる豚」と、クワイ、シイタケ、キャベツといった素材の良さを引き立てた味わいが人気を集めています。

実は、回を取材したときには岡さんにお会いできなかったので、KOMOの取材で岡さんから話を聞くのをとても楽しみにしていたんです。

「『そのままがいいことってあるよね』と、そういう会話から始まったブランドなんです。それは、私の『リネン生地をそのまま使いたい』という想いにも通じていることで。ポジティブな意味で質素な、『そのまま、素(す)のまま』を生かす衣食住を提供できたらと思ったんです」。

今は、回とKOMOは別のプロジェクトであるけれど、いつか同じ「素のままプロダクト」の商品として展開する未来も描いているのだと、楽しそうに話してくれた岡さん。今後の展開を想像してわくわくする、夢にあふれた楽しい取材でした。

岡さんのものづくりのバックグラウンドは、出身地であり、現在もアトリエを置く鶴田町。rakraでは2017年の街歩き特集での街中でツルを探す散歩、また2015年のパン特集と2018年のあんこ特集では、「道の駅つるた 鶴の里あるじゃ」の驚くほど大きいパンと、特産のスチューベンを使った大福を紹介してきました。

面白いモノ、コトがたくさんある鶴田が大好きだという岡さんの「素」を生かすプロダクトも、心惹かれる展開がこれからもっと生まれそうで、目が離せません。

ライター:井藤雪香 写真:油野純平