岩手県・遠野市。「遠野物語」が有名だが、その風土を感じたことはあるだろうか。遠野を何度も訪れたラ・クラスタッフは、何か「ただならぬもの」を感じていた。それは、本で知る「遠野物語」だけではない何か。山神様の気配、しし踊りの熱、豊かな食文化、人のつながり……。遠野の魅力は誌面だけで語り尽くすことができない。そこで、読者のみなさんに体感してもらうツアーを企画した。

ホップ畑の緑のカーテンで飲むビール。爽快。

キャストは遠野の人現地の人が全面協力

 遠野のツアーを企画するにあたり、遠野を拠点に活躍するローカルプロデューサーの富川岳さんに協力を仰いだ。富川さん自身、遠野に魅了され、商品開発やツーリズムなどで地域のプロデュースに取り組んでいる。今回のツアーでは、富川さんのネットワークで魅力的な人々がキャストとして集結した。人との出会いは、旅をいっそう楽しくする。
 さらに、今回の旅では、遠野市出身のソムリエ・松田宰さんが、遠野の人が愛してやまないジンギスカンにワインをペアリングする。第1弾の旅のテーマは「ホップ畑と遠野物語の風景をゆく」。さあ、出かけよう。

  • 遠野市出身のソムリエ・松田宰さん。JSA公認ソムリエ。
  • ホップ畑での軽食を担当するのは遠野市内のカフェ「On-café」の店主・菊池礼子さん。
遠野昔話の語り部・堀切初さん。味のある語り口で昔話の状況が目に浮かんでくる。
笹村精肉店の夫婦と、娘の村井由起子さん。

旅の始まりはホップ畑で乾杯!

 遠野はホップの産地だ。ツアーで訪れる8月はホップの収穫期。ホップのグリーンカーテンに包まれた畑の中、遠野のクラフトビールで乾杯。地元のカフェ「On-café」が作る軽食をつまみに、ビールで喉を潤す。この爽快感はツアーでしか体験できない。
 その後、道の駅・遠野風の丘に移動し、ショッピングを楽しむ。遠野の風景が広がるテラスで景色を眺めていると、遠くから聞こえる汽笛の音。白煙を上げながらSL銀河が姿を現す。カメラのシャッターを切るか、思いきり手を振るか。そのどちらでもいい。緑風を切って走るSL銀河の姿を目に焼き付けて。

不思議な岩「続石」で語り部の昔話を聞く

 山の神の昔話で知られる「続石」。霊験あらたかなこの巨石の御前で、昔話を聴く。語り部・堀切初さんが語り始めると、空気はしんと静まり返り、そこでは鳥や虫たちも話に耳を傾けているかもしれない。続石での昔話は初めての試み。まだ誰も体験したことのない世界。ツアー参加者だけが体験できる。

遠野物語の風景と食文化こころおどる味な遠野旅

南部曲り家でしし踊りを鑑賞

 「遠野ふるさと村」は、南部曲り家が点在しており、昔話さながらの世界が広がっている。曲り家の庭では遠野物語の冒頭にも登場する「張山しし踊り」を鑑賞する。太鼓の独特なリズム、笛の音、勇壮なしし踊りに時を忘れて見入っていると、いつしか幽玄の世界へ。さあ旅はクライマックスだ。

©Ryo Mitamura
勇壮な「張山しし踊り」の仕舞。曲り家の庭で堪能する。

ジンギスカンとワインのマリアージュ

 遠野名物バケツジンギスカン。ここでは特別に、ラ・クラ的なペアリングを提案したい。提案するのは、遠野市の姉妹都市イタリアのサレルノに遊学した経験がある松田氏。ジンギスカンとワインのペアリングで遠野とイタリアをつなぐ。
 さらに、新しいラム肉の食べ方の提案として、地元の精肉店「笹村精肉店」が特別にラムステーキを用意してくれる。ジンギスカンとワインのペアリング。旅先の遠野で巡り合う新たなマリアージュに心が踊る。
 多様な遠野の魅力を体感しに「ワインソムリエとゆく こころおどる味な遠野旅」ぜひ、ご参加いただきたい。

  • 笹村精肉店の「ラムステーキ」。弾力があってジューシー。
  • 曲がり家のある庭で味わう遠野のジンギスカンとイタリアのワイン。ソムリエのペアリングが楽しみだ。