食材を美味しくする米麹の「ソコヂカラ」
日本料理の基本である「さしすせそ」は、調味料を投入する順番を示す言葉。それぞれ砂糖・塩・酢・醤油・味噌の頭文字だが、江戸時代は砂糖が貴重で高価だったため、代わりに米麹を使った甘麹やみりんが甘味として使われていたという。「さしすせそ」の塩以外は、米麹を活用した発酵調味料である。
米麹は、デンプンやタンパク質などの栄養成分を分解する酵素を持っている。それらが肉や魚の身や野菜をやわらかくし、旨みを引き出すという。
「麹を使った料理が体に良いといわれるのは、調味料として使われた麹が持つ酵素が食べ物の消化を助け、腸内環境を乱しにくい状態を作っているから。食べ続けることで体の中がきれいになっていくのだと思います」
そう話すのは、秋田県横手市にある「羽場こうじ茶屋くらを」の店主・佐々木百合子さん。実家は創業100年を超える老舗「羽場こうじ店」である。百合子さんは「米麹が持つソコジカラ」を身をもって知っている。かつて、県外に住んでいた百合子さんは病気が原因で心身が弱ってしまい、起き上がれないことがあった。見かねたご主人が「秋田に家族で帰ろう」と提案し、家族3人で戻ってきた。
「実家に戻り、ある日、母が作ってくれた味噌汁を飲んだとき、体の中にしみ込んでいくのを感じ、息を吹き返したようでした」
そして、母親が作る日々の料理に塩麹や味噌などがたっぷりと使われていることに気付いた。それからは母親の料理を残さず食べるようにし、それとともに元気を取り戻していった。
「子どもの頃は当たり前すぎて気にもしなかったのですが、これが私の体を作っていたのです」
百合子さんは、米麹がどのように役立っているのかを知らなかった。しかし、それ以来、自分の体で感じた「米麹のチカラ」や地元の食について知りたいと考えるようになった。さらに健康を作る仕事がしたい、米麹のチカラを伝えたいと思い、くらををオープンさせた。
同店で提供する料理は、地元のお母さんたちが日々作る米麹を使った料理や漬物だ。数あるレシピの中から、今回は百合子さんが自宅でよく作るものを教えてもらった。毎日食べても飽きないオムレツ、鍋ひとつで作れる煮豚など、どれも簡単な家庭料理ばかり。ぜひチャレンジして、「米麹のソコヂカラ」を体感してほしい。
羽場こうじ茶屋くらを
「羽場こうじ店」が営む食堂。平成15年(2003)まで約200年にわたって酒造りをしていた旧勇駒酒造の建物(国登録有形文化財)を活用し、家庭の台所から生まれた麹料理を提供。
- 秋田県横手市増田町増田中町64
- TEL 0182-45-3710
- 営業時間/売店10:00〜16:00、食堂11:00〜14:30(L.O.)
- 定休日/火〜木曜
- 公式サイト、SNSあり








