焼き菓子の定番であるショコラのケーク(パウンドケーキ)。大館市の「patisserieMessonerパティスリーメッスナー」は、山ブドウ系品種使用の県産「小坂ワイン」で煮たイチジクとレーズンを入れ、アクセントにしている。小坂ワイン自体の上品な酸も感じてもらいたいと、焼き上げ後、ワインとシロップを1対1で混ぜたものにくぐらせる点もポイントだ。
 このようにチョコレートのほろ苦さと、果実やワインの軽い酸味が融合したこのケークに合わせるのは、干しブドウで仕込んだワインをブレンドした赤ワイン。干しブドウのワイン特有の果実味や酸味、ほのかな苦みが、ケークの風味と調和し、相乗効果が生まれる。

 青森市の「vingtヴァン- deuxドゥ」は、オリジナル性の高い菓子作りで評判の店。県内の大鰐町産の米味噌を使ったパウンドケーキ「津軽味噌パウンド」はその好例で、味噌とバターの親和性の高さに驚かされる。そもそもこれは、団子などに使われる「くるみみそだれ」をイメージして開発されたとか。そのため生地にクルミが入り、その旨みや食感も相まって、後を引く味わいだ。
 発酵・熟成を経た味噌のコクには、同じように「熟成感」のある、26年ものの赤ワインの古酒を合わせたい。古酒ならではの重層的な味やブーケ(熟成香)は、「津軽味噌パウンド」の奥行きのある味わいにしっかり寄り添う。

 和菓子はもちろん洋菓子でも人気が定着している「抹茶味」。青森市の「PATISSERIEパティスリー A VENCERヴァンセ」の「ケーク抹茶大納言」も、抹茶の上品な苦みと美しい緑色が楽しめる一品だ。生地には優しい甘さの大納言小豆も加え、コーヒーにも緑茶にもマッチする味に仕上げている。
 そんな抹茶のケークと相性抜群のワインが、若摘みのブドウを使った微発泡タイプのポルトガル産グリーンワイン。フレッシュな果実味と酸味、山菜を思わせる微かな苦み、低いアルコール度数が特徴だ。抹茶のケークの持ち味をより高めるとともに、これからの季節にぴったりの、若々しく軽やかなペアリングとなっている。

 秋田市の「VERYベリー SWEETSスイーツ」の「オレンジガレット」は、「ガレット(厚焼きクッキー)」という名前ながら、メレンゲ主体の「ダックワーズ」をクッキーの上にのせた2層の菓子。上のふわっ、下のサクッという2つの食感が楽しめる。さらに魅力的なのが、自家製マーマレードがつくり出すオレンジの風味。表面にのったオレンジピールとともに、口の中のオレンジの余韻が長い。
 これには、白ブドウを果皮や種ごと発酵させたオレンジワインを組み合わせるのがお勧めだ。熟成した白ワインのような上質な酸、紅茶のような良質の苦みが、オレンジ風味の生地やオレンジピールの心地よい苦みと共鳴する。

 チーズを使った焼き菓子は珍しくないが、盛岡市の焼き菓子工房「Citronシトロン」の「ブルーチーズのクッキー」は、ブルーチーズの量が多く甘さが控えめで、個性が際立つ。クルミ入りの食感もいい。
 ブルーチーズ特有の塩味のあるクッキーのために松田さんが選んだパートナーは、極甘口の「貴腐ワイン」。水分が蒸発し糖度が高まった「貴腐ブドウ」で仕込んだワインで、ハチミツのような濃厚な甘さが真骨頂だ。塩味と甘みのコントラストを、存分に堪能してほしい。