IGRいわて銀河鉄道で八戸を目指す

 目となる「ソムリエと行くテロワールを探す旅」が行われた。6時45分発のIGRいわて銀河鉄道に乗車し、八戸を目指す。往路は一つの車両を貸し切り、和やかなムード。1回目のツアーに参加した方も多く、あちこちで会話に花が咲いている様子。ワイン好きの集まりとあって、早速乾杯の声も聞こえる。
 ツアーの案内役を務めるのは、今回もソムリエの松田さん。列車の中では、北東北の地質と、八戸の地質についての講話があった。八戸は石灰岩土壌の地質だという。ミネラル豊富な地質で育まれたブドウから成るワインはどんな味わいだろう。期待に胸が膨らむ。レクチャーを聞きながらも列車は北へ。移りゆく車窓の景色は、列車旅の醍醐味でもある

  • IGR 車内。列車に揺られながらソムリエの話を聞く。

漁港の町八戸の味覚を

 八戸駅に到着。貸切バスに乗り換え、陸奥湊駅前朝市へ。ここは、新鮮な海の幸がずらりと並ぶ朝市。ご飯と味噌汁のセットを注文して、市場で買った刺身やウニ、筋子などをご飯に乗せるとオリジナルの海鮮丼ができる。参加者同士、具をシェアしながら色とりどりの海鮮丼を作って朝ごはんにした。お腹を満たして、次は八戸キャニオンへ。

  • 陸奥湊駅前朝市のお母さんたちと。
  • 市場内で買った焼き魚や刺身を並べて、参加者同士シェア。
  • 「これも食べて」とシェアするうちに丼の上は山盛りに。

八戸の地質を識る

 「八戸キャニオン」は、ここが日本かと思うほど壮大なスケールだ。最深部は海抜160メートル。キャニオンの底は、日本の地上で一番深いというから驚きだ。ここは石灰石の採掘場。むき出しになった地質から、ここが石灰岩土壌だということが一目瞭然だ。
松田さん曰く「石灰岩土壌から作られるワインは柔やわらかいミネラルが特徴」とのこと。「ここにぶどうの木を植えてみたいですね」と松田さんが茶目っ気たっぷりに話す。

風光明媚な種差海岸を歩く

 一行は種差海岸へ移動、葦毛崎展望台から種差天然芝生地までのトレッキングだ。いよいよツアーはクライマックス。前日の台風は去り、歩くのにちょうどいい天候だ。潮風を感じながら約6・5キロの道のりを歩く。アップダウンはあるものの、整備された道は、景色を楽しみながらゆっくり歩くことができる。
 海岸に打ち寄せる波で遊んだり、奇岩や植物に見とれたりしながら、あっという間の6・5キロ。「行けるところまで歩いてみよう」と歩き出した80代の参加者も「あともう少し、もう少し」と、励まし合いながら歩き切った。ゴールではスパークリングワインで乾杯。景色も美しかったが、人生もまた美しい。参加者同士の一体感が生まれた瞬間だった。

  • 切り立った断崖は全て石灰石。八戸キャニオンにて。
  • 景色を見ながらゆっくり種差海岸ウォーク。
  • 天然芝生の緑色の絨毯に思わず寝転びたくなる。
  • 参加者にワインを注ぎながら疲れを労う松田さん
  • 松田さんからの「砂に書いたラブレター」
  • 乾杯の後はあちこちで写真撮影が。

ワイナリー「澤内醸造」へ

 八戸のワイナリー「澤内醸造」では、リストランテ澤内のオーナーシェフでもある澤内昭宏さんが案内してくれた。イタリアで料理修行をした澤内シェフは、醸造も学んだという。ワイナリーでは、仕込み中の樽を間近にしながら醸造の過程についての話や、八戸のワインの話を聞くことができた。発酵中のワインを目にし、参加者の飲みたい気持ちは最高潮に。

  • 澤内醸造にて。間近で樽の中を見せてもらう。
  • シェフであり醸造家でもある澤内昭宏さん。
  • ワインの話やイタリアの話で盛り上がるレストラン。
  • 息の合ったトークで会場を盛り上げる。
  • じっくりテイスティング。
 

待望のワインはリストランテ澤内で

 八戸の海の幸を食べ、八戸キャニオン、種差海岸で八戸のテロワールを体感した一行。いよいよ待ちに待ったワインと食事だ。リストランテ澤内の自家製のシャルキュトリーとパンに合わせるのは澤内醸造のワイン。レストランでは、澤内シェフとソムリエ松田さんによるワインのトーク。シェフとソムリエそれぞれの視点からの解説に会場は大盛り上がり。参加者はいろいろなワインをテイスティングし、始終笑顔。「このワインが美味しかったわよ」と会話も盛り上がった様子だ。他県ではなかなか手に入らない澤内醸造のワイン。皆、旅の土産にワインを購入していた。一日中八戸を満喫した帰りは、八戸を離れるのが名残惜しい。しかし、帰ってからの楽しみもある。旅を振り返って飲むワイン。八戸のテロワールを感じて。

  • 参加者は、同じバスで各地を巡り、種差海岸をウォーキングした仲間。ワインを介して話が弾む。