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パティシエの力

 

ナチュラルで美味しいスイーツを

 令和2年(2020)6月、盛岡市に、宅配スイーツ店がオープンした。オーナーは、洋菓子を作り続けて37年のパティシエ・川村浩さんだ。
 川村さんが、パティシエになったきっかけは、高校時代に遡る。友人の家に遊びにいく時、姉に教わったスイーツを持参するのが通例だった川村さん。友人たちの喜ぶ顔が嬉しくて続けているうちに、友人の家族にも評判となり、いつしか「料理上手な川村くん」としてその名が知れ渡っていた。川村さんはその時、「美味しいスイーツは、人と人を繋ぐことができる」とパティシエの仕事に興味を持ったという。
 盛岡市内の洋菓子店でアルバイトを始めると高校卒業と同時に就職。パティシエの道へ。その後、製菓会社に26年勤務し、50歳を過ぎた頃に退職。年齢的に、事務的な仕事が増え、現場での仕事が減ってしまったためだった。「常におもしろいことがしたいと思っています。やっぱり現場がいいし、お客さんの『美味しかったよ』という声が聞こえるところにいたい。ただそれだけ」川村さんはフランス菓子専門店に転職し、若いパティシエとともに2年間働いた。

  • イタリア語で「お坊さんの頭」という意味のケーキ「ズコット」。キュートな見た目で、中にもたくさんフルーツが入っている。
  • 焼きたてスフレチーズ」。岩手県産たまごと牛乳をたっぷり使用した、優しい甘さのチーズケーキ。フワフワの食感も楽しい。
コックコートに酒屋の前掛け。パティシエであり、宅配もこなす「川村商店」らしい。

 そして、念願叶って独立。自宅の一階を改装して専用の厨房を設えた。店舗は持たず「宅配スイーツ店」というスタイルだ。
 共働きの家庭が増え、仕事帰りにバースデーケーキを買いに行くことができない人がいることに目を付け、宅配に可能性を見出したという。「できたてのスイーツを食べて欲しい」と話す川村さん。ケーキは宅配する日に焼く。保存料など添加物はほとんど使わず、ナチュラルで美味しくて、見た目も可愛いスイーツづくりを心がけている。「焼きたてスフレチーズ」は岩手県産の牛乳をたっぷり使い、低温で時間をかけて焼き上げる。フワフワの食感は、大人も子どもも喜ぶ優しい味だ。「台湾生カステラ」も、優しい甘さで、何度も繰り返し食べたくなる。どちらも、フォルムが心憎いほどに可愛らしい。「根っからの牛乳好きなので、岩手の牛乳を思う存分使ったお菓子を作りたいと思っていました。自分の店だとそれができるから嬉しいなあ」。
 夢を追いかける人の目は輝いている。「食べた人に喜んでもらいたい」という想いは、高校の頃から変わることはない。  宅配スイーツ「川村商店」は、スイーツといっしょに笑顔も届けてくれる。

  • 盛岡市の台所として親しまれている「神子田朝市」にも出店する。夏はフルーツ盛りだくさんの「パンナコッタ」を。※出店は土・日曜のみ。
  • フワフワ、しっとりの新食感「台湾生カステラ」は、蜂蜜&バニラと、チョコレートの2種。
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  • BAKE SWEETS 川村商店
  • ■ 岩手県盛岡市東仙北1-7-76
  • ■ TEL 090-2844-7488
  • ■ インスタグラム hiroshikawamura0810
  • ※宅配エリアは盛岡市内。注文は、電話、もしくはインスタグラムのダイレクトメールから。