ザックリした食感と、とろける餅のマリアージュ

「紫波もっちりハムカツ」

 仕事で県内のあちこちに出かけるついでに、岩手食材の質の高さの驚いている県外出身ライター。各地 のご当地食材を活かした「揚げ物」に興味が沸き、各地で味見。気軽すぎて注目されない「ご当地の揚げ 物」をコツコツと記録収集するコラム。
発見場所 岩手県紫波町
サイズ 約9×9×1.5cm(目測)
衣の質感 ザックリ系
ボリューム
状態 冷凍
特徴 ハムの間に餅を挟んだ異色作?

子どもが異様に喜ぶハムカツ

 以前道の駅で購入した際、最初のひと口に衝撃を感じたが、子供に味見させたら異様に喜んで全部食べられた。ザクッとした噛み応えの後にもっちりとした食感が印象深く、ちょっと味見してみる?と渡したのが運の尽き。結果ひと口しか食べられずモヤモヤして数年、ふと思い出して調べて見ると、紫波町で開発した商品らしい。特産である「ヒメノモチ」という餅米を使った薄いお餅を、ハムの間に挟んだカツで、全国区の人気番組でも紹介されたとか。
 家で調理出来る「冷凍モノ」があるとの事だが、1個だけだと今回も子供に食べ尽くされそうなので、多めに 入手してみる。


5個入りだったけど、くっついてないので1個ずつ自然解凍出来て助かる

思いのほかボリューミー

 衣は大きめのパン粉に包まれて、凍ってるのもあるけど結構な重さ。食べ応えもありそうで、学校帰りや小腹が空いた時にはピッタリかも。温度とか調理時間とかは書いてないので、自然解凍して普通に鍋で揚げるが、お餅が爆発しそうな気もしたので低温でじっくりと様子を見守る。ピチピチとした音と、油の匂いがキッチ ンに広がって期待感も高まってきた頃、いい色になってきたので、油を切ってお皿へ。


 

外側からは「ハム感」とか「餅感」とかは見えない

 お皿に移すときに、箸から「ザクザク」な感じが伝わってきて高揚する。ひと口しか食べられなかった数年間のモヤモヤを取り戻す時がやってきたのだ。親子とは言え、食べ物の恨みは消えない。

特許まで取った「ザクザク」と「もっちり」

 数年越しの再会で、そのままガブっといきたいところだが「記録」なので、二つに割って断面を確認。
「衣」→「ハム」→「餅」→「ハム」→「衣」・・・の層となっていて、囓ると期待通り「ザクッ」→「ジュワッ」→「モッチリ」。お餅はチーズのようにトロ〜と伸びて囓ったあとも、なんか楽しい。「ヒメノモチ」という品種のせいなのか、ハムの味を充分に吸って単なるお餅ではない味わい。揚げ物のサックリ感をジャマするんじゃないかと心配したお餅が、逆に引き立ててる気もしてくる。
 揚げるときに心配した「爆発するかも問題」も、しゃぶしゃぶにも使う薄いお餅をハムの間に挟んだことで解決したそうで、製法の特許まで取った発明とか。ハムも県産豚を使用にこだわって、あちこち手が掛かってる商品とのこと。(後の取材で発覚)

衣、ハム、お餅の断層を確認

 と言ってる間に、あっという間に完食したのでソースを掛けて2個目。1個目はハムの味を逃がさないお餅と衣のザクザク感が楽しめたが、ソースの甘みが加わるとハムの塩気がよりハッキリした。後追いでベーコンのような風味も鼻に抜けて、揚げ物に掛けるソースの相性で味も香りも膨らんでる印象。ソース有りも、無しも美味しくて、もしかしたら掛けるソースを変えても楽しめるんじゃないかと。

衣、ハム、お餅の断層を確認

やっぱり子どもに大人気

 ひとまず雪辱を果たしたので、残った分は後日子ども達に。親戚の集まりに持って行ったら、あっという間に食べ尽くされて「まだ無いの?」と軽くブーイングの声。やっぱり餅の食感が美味しいらしい。後日、送る約束をして許してもらう。地元では給食の人気メニューという話だけど、いい大人が食べ損ねて数年覚えてるくらいなので、もう少し有名になっても良いのにというハムカツでした。