いま盛岡の紺屋町から肴町界隈がおもしろいという。
藩政時代から昭和初期の建物をリノベーションした
新しい店がオープンしたり、新しいまちづくりが始まったり。
レトロな雰囲気が残る通りを気の向くまま散歩をしてみよう。

旧街道筋をレトロ散歩

 盛岡市中心部を流れる中津川は鮭が俎そ 上じょうする川として知られる。その東側に紺屋町・肴町が位置し、江戸時代には五街道のひとつ奥州街道が通り、今も藩政時代から明治・大正・昭和時代にかけての歴史的建造物が残る。
 この街道筋の散歩は「紺屋町番屋」から始めよう。明治24年(1891)に盛岡消防よ組番屋として建築、大正2年(1913)に消防組第四部事務所として改築された。

街道の名残が残るS字カーブ

 特徴的な火の見櫓とレトロな佇まいは地域のシンボル的存在として愛されてきた。今年、耐震改修し、誰もが気軽に立ち寄れる交流体験施設に生まれ変わった。紺屋町の歴史を伝える中心的存在の「ござ九」でも建物の一部がリノベーションされ、ワインショップ「アッカトーネ539」が開店した。そして、下ノ橋町まで行くと、創業が1606年という盛岡一の老舗「盛岡十一屋」も存在する。
 10月には「盛岡バスセンター」が開業を予定し、旧Nanak跡地に複合商業施設「monaka」の開発も進められている。まちには新旧の名店が入り混じり、どこか懐かしさを残しつつ新しい雰囲気も醸成し始めている。

レトロな石畳をてくてく

 紺屋町番屋

 今年3 月に交流体験施設としてリニューアルオープンした「紺屋町番屋」。1 階はカフェとショップ、2階は機織り工房。カフェではオリジナル焙煎珈琲「番屋ブレンド(500円)」(写真左) や「フルーツビネガーソーダ(400 円)」( 写真上)、自社製のスイーツや軽食を楽しめるほか、ショップでは織物雑貨やシュタイフのぬいぐるみ、県内作家のクラフト作品などを販売中。お勧めの立ち寄りスポット。(価格は税込)

  • ○岩手県盛岡市紺屋町4-34
  • ○TEL 019-625-6002(合同会社ほっぷステップ)
  • ○営業時間/10:00〜17:00
  • ○定休日/月曜

 ござ九(茣蓙九・森九商店)

 1816年から続く老舗雑貨店。江戸時代後期、明治中期・末期に次々と建てられた建物は、盛岡市景観重要建造物に指定されている。昔ながらの竹製の弁当かごや豆腐かご、箒などが並ぶ。

  • ○岩手県盛岡市紺屋町1-31
  • ○TEL 019-622-7129
  • ○営業時間/8:30〜17:30
  • ○定休日/日曜

 WINE SHOP Accatone 539(ワインショップ・アッカトーネ539)

 紺屋町の歴史を伝える「ござ九」の一部をリノベーションし、ワインショップとして7月7日にオープン。店内の手前がワインショップ、奥がイートインスペースとなっており、角打ちスタイルでオーナー・ソムリエの松田宰さん厳選のワインを楽しめる。長い歳月を経た建物が持つすてきな空間でワインを味わうひとときは、紺屋町の新しい過ごし方となるに違いない。

  • ○岩手県盛岡市紺屋町1-33
  • ○TEL 019-624-3310
  • ○営業時間/火〜木曜14:00〜21:00、金・土曜14:00〜23:00、日曜14:00〜21:00
  • ○定休日/月曜

 自家焙煎珈琲豆と喫茶 waltz

 紺屋町から葺手町へ抜ける道にある。両開きのドアとアンティーク調のドアハンドルがレトロな雰囲気。落ち着いた店内で味わう自家焙煎コーヒーは格別で、心地よい時間が過ごせそう。

  • ○岩手県盛岡市中ノ橋通1-3-21
  • ○TEL 019-613-2330
  • ○営業時間/10:00〜18:00、日曜・祝日11:00〜17:00
  • ○定休日/木曜、第2・4水曜

 平興商店

 菊の司酒造の向かいにある角打ちができる老舗酒店。菊の司の酒のほとんどがラインナップされている。グラスからこぼれるほど注がれた酒も評判で、女将さんとの会話を楽しみに、毎日のように訪れる常連客も多い。

  • ○岩手県盛岡市紺屋町6-2
  • ○TEL 019-622-2753
  • ○営業時間/9:30〜20:00、日曜・祝日13:30〜20:00
  • ○定休日/1月1日

 南部鉄器 釜定

 瓦屋根と漆喰の壁が城下町の風情を感じさせる工房。三代100 年以上にわたり、昔ながらの製法で南部鉄器をつくり続けているが、現代の生活に馴染むモダンデザインの作品も手がけている。

  • ○岩手県盛岡市紺屋町2-5
  • ○TEL 019-622-3911
  • ○営業時間/9:00〜17:30
  • ○定休日/日曜

 お茶とてつびん engawa

 昭和 24 年(1949)に建て替えられた写真館をショップ&カフェにリノベーション。店内は洋室と和室、さらに奥には中庭があり縁側でお茶もできる。お勧めはフランス・パレデテの茶葉を急冷式で淹れた「アイスティ(550 円・税込)」。鉄瓶に実際に触れたり白湯の試飲も体験できる。

  • ○岩手県盛岡市中ノ橋通1-5-2 唐たけし寫場1F
  • ○TEL 019-656-1089
  • ○営業時間/11:00〜21:00、土日曜・祝日8:00〜17:30
  • ○定休日/月・火曜

ゆったりとした時が流れる界隈へ

 十三日(とみか)

 約120年前の木造建物をリノベーションした複合施設「十三日」。飲食店の「エピスリー・シトロン」や「MARU3」のほか、ギャラリーなどが入居。名称は旧町名「十三日町」に由来する。

 BOOK NERD

 独立系書店を始めるにあたり、紺屋町を選んだのは「近くに行きつけのコーヒー店があったから」という店主の早坂大輔さん。独自の基準で選んだ書籍が並び、イベントや展示も行っている。散歩がてら、新たな本との出会いを求めて訪れてみては。

  • ○岩手県盛岡市紺屋町6-27
  • ○TEL 019-677-8081
  • ○営業時間/11:00〜17:00
  • ○定休日/火・水曜

 盛岡十一屋

 「十一屋」は1606年創業の老舗。時代に合わせさまざまな商売をし、現在は日本酒ライフスタイル専門店。店舗は大正時代の建物を気軽に入りやすいようにと洒落た内装に改装。日本酒は常時100 種類ほどで1 本で販売するほか、はかり売りにも対応。角打ちスタイルで飲みながら選ぶこともできる。専務の高橋政徳さんは「この料理にはこの日本酒を」という提案も行っているので、気軽に相談を。

  • ○岩手県盛岡市下ノ橋町2-12
  • ○TEL 019-623-7111
  • ○営業時間/13:00〜20:00、土・日曜12:00〜19:00
  • ○定休日/火曜

 BICYCLE SHOP GRINS

 かつての菓子店「ゆうきや」の店舗を活用する自転車店。ブランドメーカーのロードバイクやMTB からママチャリまで取り扱い、一般修理も行う。自転車散歩のついでに立ち寄り、メンテナンスをしてみては。

  • ○岩手県盛岡市下ノ橋町2-12
  • ○TEL 019-623-7111
  • ○営業時間/13:00〜20:00、土・日曜12:00〜19:00
  • ○定休日/火曜

盛岡市紺屋町。
歳月を経た古い建物で、今も商売を続けている店があります。
「茣蓙九(ござく)」の名で地域の人々に親しまれている森九商店です。
人より長い歴史を持つ建物が持つ魅力にワインの力をのせたら……。
その想いが「WINE SHOP Accatone 539」につながりました。

イタリアに「ゆっくり行く者は遠くまで行く」という諺があります。
三日月のワインセラーには20 年30年と熟成したワインがあり、
満月になるのをゆっくりと待っています。
この建物この街に寄り添いながら、「Accatone 539」も熟成していきます。
三日月が満ちていくように、ゆっくりと……。

  • 岩手県盛岡市紺屋町1-33
  • TEL 019-624-3310
  • 営業時間/火〜木曜14:00〜21:00、金・土曜14:00〜23:00、日曜14:00〜21:00
  • 定休日/月曜
  • https://accatone.jp